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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Review

Atmospheric and hydrospheric sciences

201412201412

IPCC AR5における地球システムモデリングとこれから

羽島 知洋、河宮 未知生、渡辺 路生、加藤 悦史、立入 郁、杉山 昌弘、渡辺真吾、岡島 秀樹、伊藤 彰記

Modeling in Earth system science up to and beyond IPCC AR5

Hajima T, Kawamiya M, Watanabe M, Kato E, Tachiiri K, Sugiyama M, Watanabe S, Okajima H, Ito A

Earth system science, Earth system model, Carbon and nitrogen cycle, Land and ocean CO2 uptake, Ocean acidification, Land-use and land-cover change, EMICs, Geoengineering, Iron deposition

地球システムモデルの概念図

人為CO2排出に代表される人間活動は地球環境を変化させてきており、現在は、その変化がより顕在化しつつある状況にある。地球環境を構成する多くの要素は相互に作用しており、個別要素に切り離して議論するだけでは不十分であるため、この問題を解決するためには研究分野間の垣根を越えた科学的協力が欠かせない。地球システムに対する理解を深化させ、現在進行中の地球環境問題を解決するためには、このような認識を持って取り組む必要がある。これらの一部は、地球システムモデルという数値計算モデルとして既に具現化されており、実際に地球環境変動予測に用いられている。本論文ではまず、地球システム科学におけるモデリングの発展について延べる。次に、気候変動に関する政府間パネルの最新報告書の中から、特にこれら数値計算モデルによって得られた知見に焦点を当てて紹介するとともに、次期報告書に向けて議論が進められている以下の7つの研究課題:1) 炭素循環や温室効果ガスと関連する「全球窒素循環」、2) CO2吸収に伴って生じる「海洋酸性化」、3) 主要な人為CO2排出源の一つである「土地利用変化」、4) より長期/多数のアンサンブル数値実験を行う上で欠かすことの出来ない「簡略化された地球システムモデル」、5) 気候緩和の手段として期待される「気候工学」、6) 長期地球環境予測において重要な「海洋によるCO2吸収」、7) 海洋CO2吸収速度に影響を与える「海洋生態系への鉄供給」に関するレビューを行う。地球環境変化に関する科学的知見の集積と具体的対応は、地球科学において喫緊の課題である。モデリングという手法は、地球システムを構成する要素間の相互作用を明示的に取り扱うことが可能であり、多様化する研究分野の橋渡しをすることにより、今後の地球システム科学の発展に強く貢献する。

日本語原稿執筆者:河宮 未知生(海洋研究開発機構)
(敬称略)