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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

Session convener-recommended article JpGU Meeting 2013

201410201410

GNSS連続観測により琉球海溝沿いで観測された短期的スロースリップイベント

西村卓也

Short-term slow slip events along the Ryukyu Trench, southwestern Japan, observed by continuous GNSS

Nishimura, T.

Slow slip event (SSE), Slow earthquakes, Ryukyu Trench, Nankai Trough, GNSS

1997-2013年に琉球海溝沿いで検出された短期的スロースリップイベントの断層モデル.青もしくは水色の矩形は矩形断層,矢印はスリップベクトルを表す.SSEの密集域をC1からC6に示す.赤点は気象庁による低周波地震の震央.網掛けの矩形領域は,データの解像度がないため解析対象外とした.

本研究は,GNSS(全地球衛星測位システム)の連続観測データを用いて,短期的スロースリップイベント(SSE)を系統的に調査したものである.GNSS時系列のオフセットの検出と沈み込むフィリピン海プレート上面での矩形断層を仮定した弾性ディスロケーション理論のモデリングにより,1997年1月から2013年11月までの期間に発生した130個の短期的SSEの可能性が高いイベントと93個の短期的SSEの可能性があるイベントを検出した.これらのSSEのモーメントマグニチュード(Mw)は5.6から6.8である.

検出された短期的SSEは,再来周期,マグニチュード,継続期間,同期する地震活動といった特徴に様々な違いが見られた.琉球海溝沿いで発生する短期的SSEは,確認される限りにおいて,低周波地震や低周波微動を伴わないことが一般的であり,低周波地震や低周波微動を伴うSSEは四国西部と豊後水道といった南海トラフ沿いのみに見つかった.滑り量の累積分布や累積回数分布は,主に10~60kmの範囲に広がっているが,空間的に不均一な分布をしている.深さが20kmより浅い短期的SSEは,南海トラフ沿いでは検出されなかったが,琉球海溝沿いでは,浅いプレート境界面で頻繁に発生しており,注目に値する.この違いは,琉球海溝沿いでは,多くの測地学的研究によって推定されているように,プレート境界の固着が弱いことと関係しているかもしれない.深さ20~40kmに分布する短期的SSEの帯は,四国西部から豊後水道を通り,九州中部まで伸びているが,九州−パラオ海嶺が沈み込む付近で消滅する.本研究では,従来から見つかっていた八重山諸島のクラスターに加えて,短期的SSEの特徴的なクラスターが複数見つかった.喜界島の北東に位置するクラスターでは,奄美海台が沈みこむ海溝軸に近い深さ10km程度の場所に,20回SSEが繰り返し発生している.また,沖縄本島の南東に位置するクラスターでは,Mw6.0より規模の小さなSSEが29回も発生している.本研究の結果より,短期的SSEの分布は,大地震の分布と同様に,沈み込むプレートの凹凸(地形)に関係していると考えられる.

日本語原稿執筆者:西村 卓也(京都大学 防災研究所 地震予知研究センター)
(敬称略)