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Progress in Earth and Planetary Science

日本語Abstract

Research

Solid earth sciences

Session convener-recommended article JpGU Meeting 2013

201406201406

分子動力学法を用いた苦土カンラン石―MgSiO3液体界面の構造と物性の研究

則竹史哉,河村雄行

Structure and properties of forsterite-MgSiO3 liquid interface: Molecular dynamics study

Noritake F, Kawamura K.

Solid-liquid interface, Molecular dynamics simulation, Forsterite, Silicate liquid

液体薄膜の厚みが16nmのときのシミュレーションのスナップショット

部分溶融岩石のパーミアビリティや粘性といったメカニカルな物性は火成活動を研究する上で重要な物性となる。私たちは初生的な部分溶融岩石を模した苦土カンラン石-MgSiO3液体界面の分子動力学シミュレーションを行い、界面の構造と物性についての研究を行った。計算を行った系は苦土カンラン石(空間群はPbnmとして扱う)の(010)面に4nm~28nmのMgSiO3液体膜が挟まれている系である。その結果、界面近傍においてSi-リッチな層とMg-リッチな層が交互に繰り返す特徴的な層状構造が観察された。この層状構造はSi-O間のセミコヴァレントな結合とMg-O間のアイオニックな結合の間の結合エネルギーの差によって生み出されていると考えられる。また、その層状構造は挟まれた液体膜の厚さによって異なり、挟まれたMgSiO3液体膜が薄いほど層状構造のコントラストが強い。その原因は液体膜内におけるコンフィグレーションの自由度の差だと考えられる。界面に平行な方向の酸素の二次元自己拡散係数は二つの要因によってコントロールされている。一つは挟まれた薄膜の厚みで、薄膜の厚みが薄いほど液体膜内部の構造化が行われ自己拡散係数が低下する。もう一つの要因は酸素が属している層のMg/Si比で、Mg/Si比が高いほど自己拡散係数が高くなる。酸素の自己拡散係数はEyring則やEinstein-Stokes則によって珪酸塩液体の粘性と反比例することが知られている。この研究により明らかになった界面の効果を部分溶融岩石を二十面体で近似した組織平衡モデルに当てはめると(see von Bargen & Waff, 1986)、粒径が1μm程度から、メルトチャンネル内の粘性を増加させパーミアブルフローに影響を与える。しかしながら上部マントルの代表的な粒径は1.0mmから50mm(Faul & Jackson, 2005)とされており、部分溶融岩石が組織平衡に達しているとすれば、部分溶融岩石におけるメルト輸送プロセスにおいて界面の影響はないと考えられる。しかしながら、de Kloe et al, 2000によると、変形試験を行ったカンラン石・斜方輝石で構成される岩石には0.6-3.0nmのメルトフィルムがあるとされており、そのような場合には界面の影響を考えなければならない。

日本語原稿執筆者:則竹 史哉(岡山大学 環境生命科学研究科 環境科学専攻)
(敬称略)